NPO労務のサイトNP 専門である労働問題につい てなにか役に立つ情報を伝えたい
と思っています。ここは労働法について勉強することをメイ
ンに考えています。労務管理を法律的に見てみましょう。
厚生労働省大阪労働局
労働基準法のあらまし、労働時間の基礎知識
全国公立学校事務長会

沖縄県事務職員協会
























1. 電子メールの利便性とリスク
電子メールはたいへん便利な通信手段です。電話やファックスに比べてもコストが低いうえ、添付ファイルを使えば相当量の情報を瞬時に 送ることができます。
 しかし、当然のことですが、その利便性が高い反面、電子メールには大きなリスクが潜んでいることに留意すべきです。
 故意に行われる場合を含め、顧客の個人情報が電子メールを通じて侵入するケースについてはご承知の通りです。また、始めは、故意と か悪意が無くても、結果として犯罪を構成してしまうケースが多いのです。
 昨年、ある防衛機器メーカーの社員が、防衛機器の設計に関する内部資料を外部に漏らしたことの嫌疑で、警察の捜査が入りました。
  調べによると、この社員は自宅で仕事をしようと、自分宛てにメールで、会社の資料を送り込んだところ、たまたま自宅に来ていた友人が、いたずら半分にその 資料をフロッピーディスクにいれて持ち出し、そのフロッピーを電車の中に置き忘れ、遺失物として警察に届けられ警察は、その情報の内容から日米相互防衛援 助協定等に伴う秘密保護法に触れるとしてそ

のメーカーを捜査しました。
 そのメーカーは、かねてから電子データの管理態勢の徹底を図っており、上司の決済がない限り添付メールの送信が出来ないようにして いたと
のことですが、現実には盲点があったというとこになります。


4. ≪参考≫電子メールの閲覧に関する裁判事例(東京地裁平成14年2 月26日判決)
 私用メールは、送信者が文書を考え作成し送信することにより、送信者がその間職務専念義務に違反し、かつ、私用で会社の施設を使用するという企業秩序違 反行為を行うことになることはもちろん、受信者に私用メールを読ませることにより、これに応じて受信者が返信として私用メールが送信されていたものが相当 数存在する。これは、自分が職務専念義務について違反するだけではなく、受信者に返事の文書を考えさせ、送信させることにより、その送信者に職務専念義務 に違反し、使用で会社の施設を使用させるという企業秩序違反行為を行わせるものである。
 このような行為は、会社の就業規則○条に該当し、懲戒処分になり得る行為である。
また、被告会社が行った調査は業務に必要な情報を保有する目的で被告会社が所有し管理するファイルサーバー上のデータの調査であり、かつ、このような場所 は、会社に持ち込まれた私物を保管させるために貸与されるロッカー等のスペースとは異なり、業務に関連する情報が保存されている以上、ファイルの内容を含 め調査の必要があり、その調査が社会的に許容し得る限界を超えて原告の精神的自由を侵害した違法な行為であるとは言えない。
 判決は、私用メール判決が職務専念義務違反、企業秩序違反、就業規則違反にあたり得る行為であると明白に述べています。
 したがって、会社としては、コンピュータ・ハードの貸与規定を含め社内規定をしっかり整備しておくことが肝要です。

2. 社内規則違反ならびに調査と電子メールの閲覧
社内で、コンピュータソフトや電子メールに関連する規則違反があったとき、会社が従業員の電子メールの内容等をチェックしたり、普段からモニタリングする 事を許されるでしょうか。
 法令違反の例としては、コンピュータソフトの違反コピーがあります。従業員が市販のソフトを違反コピーしてネットワーク上で配布したりすることもあるよ うですが、これは、そのひと個人に著作権侵害の罪が及ぶ事になります。
 会社が組織ぐるみでそうした違反コピーを行わせていたとなると、企業倫理上からも大きな問題となりますし、もし、会社が従業員のそのような違法行為を黙 認していたとしたら、同じように大きな問題となることは必定です。
 会社としては、こうした違法行為を未然に防止すべく従業員に働きかけ、日頃から監視する姿勢が求められます。これを怠ると、企業倫理上の是非のみなら ず、会社が著作権者から管理責任を追及されて損害賠償責任を負う事になりかねません。
 そこで、不祥事や法令違反の社内調査に関連して、会社が従業員の所持品などの検査をすることができるのか、もしできるとしたらその要件あるいは限界は何 かという問題は、コンピュータが発達する以前から挙げられていました。
 判例では、所持品検査の適法要件として、検査を必要とする合理的理由の存在、検査の方法が一般的に妥当な方法と程度で行われる事、制度として職場従業員 に対し画一的に実施されるものであること、就業規則その他、明示の根拠に基づくこと、の4条件を必要としています。
 要件に関しては、目的との関係において所持品検査という手段が果たして有効かを十分に検討すべきです。また、「不祥事故防止」というのが、具体的に何を 意味するのか、さらにその目的との関連で所持品検査が合理的に必要であることを、従業員に対して十分に周知・納得させるような配慮も必要となります。会社 は、これに対して従業員に無断でその電子メールを閲覧する事は出来るのか、閲覧は従業員のプライバシーを侵害しないのかが問題となります。